人と話している時に、言語化する力が高いですね、という言葉をいただくことがあります。
その際、
- やっぱり、影織さんはよく本を読まれているからですかね?
と聞かれることもあります。
私は、語彙力と、言語化能力は別物だと考えています。
いくら読書家でも、語彙力があっても、自分の思考や感情を正しく言葉にできない、ということはよくあるんです。
なんだろう、語彙力をニンジンとか玉ねぎとか肉とか、材料をたくさんストックしておける力だとしたら、
言語化能力は、作りたい料理を作る力、と言ってもいいかもしれません。
この観点から、「言語化能力を育てる」とはどういうことか考えてみました。
言語化能力を育てる
自分の表現したいことに気づく
これが言語化能力の第一歩。
自分が何を感じ、考えているのか...何を表現したいのか、を汲み取るのが第一歩ということですね。
実はここが一番大事な作業なのではないかな、と思います。
自分がどんな料理を作ろうとしているかわからない、つまり、自分が何を感じ、考えているのかわからないままにコミュニケーションをすることで混乱してしまうことは、よくあるからです。
ちょっとした例を見てみましょうか。
日々のやり取りの中で、本当は嫌だな...と相手に思っている、些細なことがあった。
でも、なかなかそれを言えずに過ごしていた。
ある日、何気ない一言からケンカが始まり、溜め込んだ感情が大噴火して、
- あなたのことなんて、本当は昔から好きじゃなかった!
と言ってしまった。
この主人公の本心は、
「実は、以前から相手の言動に気になる部分があったが、我慢していた。
なぜ直接言えなかったかというと、伝えることで相手の機嫌を損ねるのが怖くて、遠慮していたから。
そのため、言いたいことが言えなくてモヤモヤしていて、そんな自分に対する自己嫌悪もあった。
自分が黙っていることで、相手にも自分が嫌だと感じていることをわかってもらえないので、寂しさや不満が溜まっていた」
なのに(長!)、
相手に届く出力は「本当は昔から好きじゃなかった!」という、短く痛烈な一言になってしまう。
ついでに、それが自分の本心だったと錯覚してしまうことすらある。
お、お、落ち着いて...(๑╹ω╹๑ )
本当はカレーを食べたかったってことに気づかないまま、相手におでんぶっかけちゃってるような状態だよ...(๑╹ω╹๑ )
どうしたら、自分の中にあるものを汲み取れるのか?
私自身、いきなり自分の考えていることをしっかり言語化できたわけではありません。
ここに至るまでに、何度周りの人に熱々おでん芸をやらせてしまったことか...( ˘ω˘ )
思っていることを相手に言ったら怒られるとか、
考えたことを外に出すとバカにされるとか、
自分の中にあるものを外に出した時、嫌な体験や、危険な思いをしてきた人ほど、自分の言葉を汲み取るのが難しくなっていきます。
何か感じたり考えたりしても、出せないので、そもそも見ないふりをして、なかったことにしちゃうんですね。
その結果、自分が何を感じ、考えているのか...何を表現したいのか、を汲み取ることがめちゃくちゃ難しいことになってしまうのです。
だから、まずは、自分が感じていること、考えていることは全部OK、と認めるところからスタートするのが大事です。
こんなやばいことを考えていて、醜く暗い感情を持っている、そんな自分は認めたくない...という思いが出てくることがあるかもしれません。
が、考えるのと、それを実際行動に移すのは別物です。
湧いてしまう感情や思考は、無理に押さえ込まずに、湧いたままにしていいのです(湧いたままにすることと、感情をそのまま人にぶつけることはまた別の話なので注意。湧いたままにするとは、ただ、「一人で感じる」ということです)。
個人的には、誰にも見せないように紙に書き出すのがとてもおすすめです。
今、上澄みにある、目の前の出来事に対する怒りや恨みの感情しか目に入らなくても、それを吐き出していくと、もう少し深い部分にある感情が出てくるはずです。
料理の話にたとえ直すなら、
おでん!これでもか!熱々おでん食らえ!みたいな、トゲトゲしく荒々しい感情が、
あぁ...本当はカレーを分かち合いたかったんだよな...という静かで深い感情に変わっていくタイミングがくるはずなんです。
ここに至るまでがまぁ結構苦しいのですが、繰り返しアウトプットしていくことで、自分の中に湧くものに許可を出せるようになっていくので、自分の中の気持ちや思考を汲み取るスピードも精度も、少しずつ上がっていきます。
まとめ
書いているうちに思った以上に長くなったので、次回に続きます。
今回は、自分の中に湧くもの気づくのが大事だよ、というお話でした。
次回は、それを表現するための材料(言葉)集めと、調理・提供(コミュニケーション)という観点から、言語化能力について考えていきます。
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