私の心の師(と勝手に呼ばせていただいている)、中村あやえもんさんの新刊が先日発売されました。
あらすじ
「男装をして、女子だとばれずに、これからの高校三年間を過ごさなきゃいけなくなった!」
主人公の瀬戸青海(せと あおみ)は、いろんな事情で、男子として高校生活を送り始めることになる。
そんなわけで、男子としてうまくやっていくためにも、「男子」についていろいろ研究することにした!
心理メカニズムの分析が得意な主人公が、様々な人間の行動原理や現象を解説してゆく。
心理解説ブログ風で語る、青春学園ストーリー、ここに開幕!
見どころ&感想
いろんな人のタイプを観察して分析する面白さ
青海がいろんな登場人物のキャラクターの行動パターンをタイプごとに分類・分析し、説明していく様子を見るのが面白いです。
物語を通して、
「自分はこっちのタイプだったんだから、あの場面で苦しくなってしまったのか」
と、自己理解を深めて安心感も感じられますし、
「自分はこっちのタイプだったんだから、あの場面で苦しくなってしまったのか」
と、自己理解を深めて安心感も感じられますし、
自分と正反対のタイプの生き方を理解し、受け入れやすくなります。
私は完全に猫タイプなのですが、
これは猫タイプの特徴だろうが、猫タイプは警戒心が強いが、心を許すと一気に信頼する。
裏を返すと、世の中にはそれだけ、「適度な距離をとって、 脅かさないように近づける人」がいない、ということだ。
これ、本当にそうだよ、わかるよ...!と思いました。
物語を通して、自分はこういうタイプなんだな、こんな自分でもいいんだな、と受け入れて、暖かい気持ちになれるんですね。
弱みを、いかに強みに変えていくのか
物語のキーポイントは、心理分析だけでなく、「弱みを、いかに強みに変えていくのか」というところにあると感じました。
主人公の青海は、
「女子であるにもかかわらず、事情があって、それを隠して男子として生きないといけない、それがバレてはいけない」
「女子なので、体格や腕力などの面で、圧倒的な不利な部分を抱えているにもかかわらず、男子と同じフィールドで戦わないといけない」
というハンデを持っています。
ですが、青海と友人たちが知恵を駆使して、その弱みをむしろ強みとして生かし、輝く場面が描かれます。
この他にも、物語中では繰り返し、
「弱いままの自分でありながら、今手持ちのカードを最大限に活かして、問題を解決していく」
という場面が繰り返し描かれます。
という場面が繰り返し描かれます。
これがめちゃくちゃ胸熱展開なんです...!(力説)
具体的な内容は物語をぜひお読みいただきたいのですが、
「人が当たり前にできることが、自分はちゃんとできない」
「自分の中に弱点があるせいで、世の中の基準に合わせられない」
という思いに傷つき続けてきた人ほど、この物語はめちゃくちゃ心に刺さるはずです(私自身、ボロ泣きしながら朝5時まで読み耽りました笑)
楽しく生きる希望が湧いてくる
最後に、一番お気に入りの文章を2ヶ所ほど抜粋しておきます。
「どうすればいいんだ」ともがいていた過去の苦しみが、結果として未来の可能性につながる。そういう事実を目の当たりにすると、ひょっとすると私たちの「今の苦しみ」ですら、何らかの未来に役立つのではないか、とも思えてくるのだった。
最初は「そんなことありえない」という現実でも、実は可能性が潜んでいたりするものなのだ。
そしてそれは、「今までこうだったから」で予測できるものではない。 変化は、突然起きる。
未来とは、何らかの変化を得た瞬間から、あっという間に変わってしまうのだ。
だから、誰かから「私は変わりたい。未来を変えたいんだ!」と言われると、私の場合は「変われるよ。変えられるよ」と答えたいように思う。
そしてそれは、私の願望でもあるように思う。
まとめ
青春ドラマとしてもドキドキワクワク楽しめる物語ですが、そこにさらに人の心の分析や、行動原理の解説などが入って、心理的な読み物としても楽しめます。
さらに、自分のままで生きる勇気ももらえる、素敵な小説です。
ぜひ読んでみてください!
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