本書の内容
マルチ・ポテンシャライトとは
この本の筆者は、TEDで「天職が見つからない人がいるのはどうしてでしょう?」というタイトルで講演したエミリー・ワプニックです。エミリーは音楽、アート、映画制作、法律とさまざまな分野を学んできた経験を踏まえて「マルチ・ポテンシャライト」という考え方を提唱しています。
「マルチ・ポテンシャライト」とは、マルチ(多くの)+ポテンシャル(潜在能力を持つ)+アイト(人)からなる言葉で、
「さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人」
と定義されます。
本の冒頭では、一般的にスペシャリストが重宝される世界での、マルチ・ポテンシャライトの悩みが書かれています。
専門分野を持って、その道一筋を極めていくことが素晴らしいとか、
たった一つの天職を見つけて、それに人生を捧げるのが素晴らしいとかいう考え方があるけれど、
自分は興味を一つに搾りたくない。
あれもこれもやりたい、でもそれでは軸がぶれている。
自分はただの器用貧乏で、結局全部中途半端の二流なのでは。
そんなことを考えて悩んでしまう人は、まさに本書で言うところの「マルチ・ポテンシャライト」なのです。
自分がまさにそうで、
切り絵をしたり、ARを開発したり、アニメーションを作ったり、小説を書いたり、Webサイトを作ったり、心理学を学んだり、はたまた最近はボイトレを習い始めたり...
「結局お前は何者やねん!」と自分でツッコミたくなるんですよね。
あと、「お仕事(活動)はどんなことをされているんですか?」と聞かれると、表現にすごく困るという笑
この本では、そんな風な悩みに対しての反論や、マルチ・ポテンシャライトの持つ強みなどにも触れられており、その強みを生かしたキャリアパスのヒントもくれるのです。
マルチ・ポテンシャライトはどう生きたらいい?
マルチ・ポテンシャライトには、
多くのことに一度に興味を持って、プロジェクトを一度に複数同時進行させる人もいれば、
あるテーマにある一定期間没頭した後に、全く別の分野に移る、というプロセスをたどる人もいます。
その興味の移り変わりと、
「お金」
「意義(自分は大事なことに携わっているという感覚)」
「多様性(抱えるプロジェクトの数やバラエティ)」
がどのようなバランスだと自分にとって一番心地よいのか、明らかにするのが大事です。
本の中にも、自分にとって最適なバランスを探るためのワークが散りばめられているので、読みながら書き進めてみるのがおすすめです。
本書では、そのバランス感覚によって、4つの働き方が提唱されています。
その4つを、さらに柔軟にカスタマイズしていくことで、充実したキャリアに変えていけると説明されます。
そして、そのワークライフバランスを実行しようとした時にぶち当たる壁(主に精神面)を乗り越え、生産性を高めるヒントが最後にまとめられています。
一番心に残ったところ
最も心に残ったのは次の一文です。
「何かに興味を失ったら、必ず『目的を果たしたからではないか?』と考えなくてはいけない。あなたは任務を完了したのだ。だから興味を失った。あなたに欠陥があるからでも、怠け者だからでも、腰を据えて取り組めないからでもなく、終了したからなのだ」
何かに興味を持ってやり始めて、飽きてきたな、興味が薄れてきたな、なんとなくもう終わりだな...という感覚を持つのが、いつも後ろめたくて辛かったんですよね。
移り気というか、浮気性というか、落ち着きがないなと。
でも、それが自分なりの一つの終わりであり、次に移るサインなのだと捉え直すことで、気持ちが楽になったのでした。
まとめ
自分がマルチ・ポテンシャライトだな、とピンときた人は、ぜひ読んでみてください。
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