先日、水彩絵の具で初の着色を試してみました。
それを通じて気づいたことがあったので、まとめておきます。

淡い色を合わせるには、切り絵の線が太すぎてはよくない

普段の手癖で1.0mmくらいの幅で線を切って作品を作ろうとしていたのですが、そのまま水彩絵の具で着色した紙を貼ると、淡い色が線の強さに負けてしまってバランスが悪い、と気付きました。
そういうわけで、いつもの半分~2/3くらいの太さの線を目指して輪郭を整えてみた作品が、Twitterでも上げたこちらのうさぎです。

一部和紙を貼ってしまった後だったため、細くしようがなかった部分(黄色いバッグなど)が残ってしまっているので、線の太さを頑張って細くしようとしたことが伝わるかな、と思います。


でも輪郭切るだけなら、切り絵にする意味なくない?

一方で、ふとこんな根本的疑問に至り、がーんと衝撃を受けていました。

切り絵は、白と黒のバランス、線のダイナミックな美しさがポイントとなる表現だと私は考えています。
しかし、細い細い輪郭線だけを残して全て切り抜き、抜いた部分を全部着色するような下絵を描いて切り始めてしまってから、「これなら一枚の紙にペンで輪郭を描いて、水彩絵の具で着色するのと、そう大差ないのでは?切り絵のよさを全然伝えられていないのでは?」と気づいてしまいました。

次の展示は、より観る人に受け入れてもらいやすいよう、あんまりダークな雰囲気にならないように…ということを意識して、いつものような文様は控えて、とにかくシンプルに作っていこうと意識していたのですが、あまりにシンプルに輪郭だけ切り出していくような作品にしてしまうのは、切り絵の味を伝えきれなくてすごく勿体ない、と気付きました。

水彩画は、白や光を表現する時に、あえてその部分を塗らないことでその白さを際立たせる技法を使うことがあると聞いたことがあります。
切り絵は逆に、黒や影を表現するときに、あえてその部分を切り抜かないことでその黒さを際立たせている、と言えるのではないでしょうか。
そう考えると、水彩画と切り絵の表現は非常に対照的ということで、うまく使えばその両方の良さを取り込んだ美しいものとなりますし、逆にどちらかの表現に偏りすぎると、その良さを活かしきれなくなってしまうと言えるでしょう(大発見)。

もっと、白と黒のバランスをしっかりとろう。
水彩着色するけれど、その色合いだけに作品の面白さを託すのではなく、黒の力強い線を味わえる作品にしよう。だって切り絵だもんね!
そう思ったら、なんだか勇気とやる気が湧いてきました。
ここが腕の見せ所、ですね。


まとめ

・水彩絵の具で着色した淡い色の紙を切り絵の色付けに使う場合、切り絵の線が太いと、線に色が負けて惜しい。細めに切ることを推奨。
・しかし一方で、白く抜いて輪郭ばかり残して着色するようになると、切り絵のよさが伝わりにくい。ダイナミックに黒を残す部分を取り入れよう。
切り絵と水彩画は対照的(大発見)。