植物は、ただ実をつける
具体的に話すと、ちょっと前はがむしゃらに、「いいものを作らないと」「たくさん作って、人に見てもらわないと」「名を立てないと」「すごくならないと」みたいな気持ちがだいぶ強かったのですが、最近になって、何か作品を作ること、文章を書くことは、植物が実をつけるように自然な感じでやっていきたいなぁと思うようになったんです(もちろん、認めてほしいという気持ちがゼロになったわけではないですが)。植物は、「頑張ってたくさん実をつけよう…!」「ガンバって実を甘く、大きくしよう…!」として実をならせているわけではないですよね。
たぶん、ただただそこに生えていて、時々雨や風に当てられて、日光と酸素を吸収して、ただ実をつけ、それがたまたま動物や人間の口に入って、「栄養になった」「おいしかった」と喜ばれるのだと思います。
植物自身が、自然の摂理を無視して青い実を無理に熟させようと頑張ったり、隣の株と比べて大きさや量、甘さを増やそうとして努力を重ね、それがうまくいかないことを嘆いたりすることもありません。
ただ大きくなって、時期を待って、実をつける。
時期が来て、ぽとりと落ちる。
あるものは土に還って、あるものは食べられる。
季節の流れに乗って、種が芽吹き、育ち、花を咲かせて実をつけるように、作品を作り続けられたらいいなぁと思うのです。