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深夜、ふと目が覚めた。
正確に言えば、目が覚めたというより、脳の一部だけがはっきり覚醒して、体はまだ寝ている、といういわゆる金縛りのような状態だ。
じっと横になっていると、影がひとつ近づいて来た。
ぼんやりとその気配が近づいてくるのを感じている中で、直観的に、
(この影は何でも知っていて、どんなことでも答えてくれる)
と気づいた。
何でも知っているのなら、何を聞いたらいいだろう。
ぐるぐる考えていると、影が私の横ですっと立ち止まって尋ねた。
「何ガ聞キタイ?」
「…あ、あの…ラミーとバッカス、どちらが好きですか」
「………バッカス、ダナ」
そう答えて影はまたすーっと去っていった。
もっと気の利いたことを聞けばよかったと思う一方、
これでよかったのだ、という思いで私は眠りに落ちていった。
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ちなみに私はラミー派です。