***
私は、街の中で鬼ごっこをしていた。
スマートフォンに届くミッションに従いながら、ハンターから逃げ回るという、テレビでお馴染みのゲームに参加していたのだった。
ゲームも後半に差し掛かった頃、他のプレイヤー達と指定の場所に移動している最中、ハンターが遠くからこちらに走ってくるのが見えた。
このままでは、一網打尽にされてしまう。
ハンターの足音が迫ってくる。
作戦成功だ。
そう思って小さく笑った時、後ろから近づいてきているハンターが低い声で私に話しかけてきた。
「おい、あいつら、あんたの走り方が変だって笑ってるぞ」
「え…?」
走りながら振り返ると、先ほどまで一緒にいたプレイヤー達がこちらを指差しながら、腹を抱えて大笑いしている。
「走り方面白い」「笑い過ぎて涙が出る」「変な後姿」
彼らの会話が切れ切れに耳に届く。
「走り方面白い」「笑い過ぎて涙が出る」「変な後姿」
彼らの会話が切れ切れに耳に届く。
体の力が抜けた。
あぁ、あいつらは、必死にみんなを守ろうとした私を、安全な場所から嘲笑っているんだ。
なんのために、こんなに頑張って走っていると思う。
なんで、笑われないといけない。
虚しさにがくりと膝をついたところを、ハンターがそっと肩に手を置く。
私は脱落した。